環境への取り組み ~グリーンRMBS・フレームワーク/発行実績~
1.オリジネーター概要及び環境への取り組み方針
1.1 オリジネーター 概要
日本住宅ローン株式会社(以下、「当社」)は、国の施策である良質な住宅の安定的供給を目的とする独立行政法人住宅金融支援機構(以下、機構)の証券化支援事業の担い手として、積水ハウス株式会社と大和ハウス工業株式会社及び、日立キャピタル株式会社(2021年4月1日付けで三菱HCキャピタル株式会社に商号を変更しています)の出資により2003年5月に設立され、さらに2004年4月に、住友林業株式会社及び積水化学工業株式会社が資本参加しました。
証券化支援事業とは、公的機関の信用力を活用して「証券化」を行うことで、長期・固定金利の住宅ローン(最長返済期間が原則35年の【フラット35】)の提供を民間金融機関を通じて実現するもので、当社はこの【フラット35】の顧客への提供を主な事業としております。
当社が営む証券化支援事業のスキームは、買取型と保証型があり、買取型は、顧客へ【フラット35】を提供すると同時に、機構へ当該ローン債権を譲渡し、保証型は、当該ローン債権に対し、機構の住宅融資保険(保証型用)を付保して、債権を証券化するため、信用リスク、金利リスク等を極力取らないビジネスモデルが可能となります。
加えて長期的に低金利が続いていた金利情勢を踏まえ、お客様のニーズが高い変動金利ローンを、2022年2月より当社プロパーローンとして提供しております。変動金利ローンについては、独自のスキームで証券化を行うことで、安定的な資金調達を実現しております。
1.2 経営方針/環境への取り組み方針
当社は、高品質な住宅に対し、「良質で安心な住宅ローンを安定的に供給」し、お客様の豊かな住生活実現の「夢の懸け橋」となることを基本方針としております。「当社の事業は社会貢献である」と位置づけ、お客様のご意見・ご要望を広く取り入れながら、お客様の満足度を最優先とするきめ細かい金融サービスのご提供に努めております。住宅ローンは長期に亘るため、当社も永続的な発展を目指し、そのために、リスク管理能力を高めるとともに、新築向けの住宅ローンだけではなく、リフォームローンや、リバースモーゲージといった分野でも、常に「革新的なビジネスモデルの担い手」であるために挑戦を続けてまいります。
当社は、こうしたローン商品の供給により、提携ハウスメーカーの環境配慮に優れた住宅の取得や改修を支援することを通じて、二酸化炭素の排出量削減を中心とした環境問題に貢献することを環境への取り組みの基本的な方針としております。
1.3 グリーンRMBS・フレームワーク策定の目的及び背景
当社の株主であるハウスメーカー4社は、各社においてサステナビリティへの取組みに注力しております。特に、政府の推進する長期優良住宅やZEH(ゼロエネルギー住宅)の供給においては、業界を牽引する高い実績を誇ります。当社においては、これらの住宅の取得を金融面でサポートすべく、住宅金融支援機構の制度である【フラット35】Sの取り扱いを推進しております。【フラット35】Sは、省エネルギー性や耐久性・可変性などに優れた住宅を取得する場合に⼀定期間の金利引き下げを行う制度で、当社の取り扱う【フラット35】の大半が、本制度の対象となります。当社は、これらの貸付債権を裏付けとしたRMBSの発行にあたり、2022年8月にグリーンRMBS・フレームワーク(初版)を策定しました。
今般、事業環境の変化に対応し、更なる環境への取り組み強化を実現すべく、国際資本市場協会(ICMA)の定める「グリーンボンド原則(GBP)2021年版」及び環境省の定める「グリーンボンドガイドライン2024年版」に基づきグリーンRMBS・フレームワーク(以下、「本フレームワーク」)を改定し、本フレームワークに基づき、グリーンRMBSを発行します。
2.調達資金の使途
2.1 環境改善効果
本グリーンRMBSは、当社が保有する住宅ローン債権等のうち、本フレームワークに定める適格要件を満たすもののみを裏付けにした受益権を発行するプログラムです。本グリーンRMBSの裏付けとなる住宅ローン債権等は、【フラット35】及び当社プロパーローンであり、その資金使途の対象は長期優良住宅の基準を満たす住宅の取得またはリフォームに係るローン(及びその借換ローン)の融資資金に限定します。これらの住宅ローン等はいずれも、省エネルギー性または耐久性等に関する一定の性能を備えた住宅を融資対象としたものであり、本貸付による住宅取得等を通じて高い環境改善効果が見込まれます。なお、当社プロパーローンには一般的な住宅ローン、リフォームローンに加えてリバースモーゲージ型ローンが含まれます。
●【フラット35】保証型の証券化について
当社が機構の「証券化支援事業(保証型)」に基づき、融資実行した【フラット35】の基準を満たす住宅ローン債権のうち、本フレームワークに定める適格要件を満たすもののみを裏付けにした受益権を反復継続して個別に発行するプログラムです。
●当社プロパーローンの証券化について
当社が独自に融資実行した住宅ローン債権等のうち、本フレームワークに定める適格要件を満たすもののみを裏付けにした受益権を発行するプログラムです。なお、プログラム毎に証券化のスキームは異なります。
●長期優良住宅の認定基準
長期優良住宅とは、長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)の規定により長期優良住宅建築等計画が認定された住宅です。長期優良住宅の認定基準における省エネルギー性及び耐久性等に関する基準は以下の通りです。
出典:一般社団法人住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅に係る認定基準 技術解説(令和4年10月1日版発)」抜粋
性能項目(抜粋) | 新築基準 | 増改築基準 |
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省エネルギー性※ | ・断熱等性能等級5(新築住宅)及び一次エネルギー消費量等級6(新築住宅) | ・断熱等性能等級4(既存住宅) 又は ・断熱等性能等級3(既存住宅)、一次エネルギー消費量等級4(既存住宅) |
劣化対策 | ・劣化対策等級3(新築住宅) | ・劣化対策等級3(既存住宅) |
耐震性 | 以下のいずれか ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)等級2(新築住宅) ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)等級1(新築住宅)の基準に適合し、かつ安全限界時の層間変形を1/100(木造の場合1/40)以下とすること ・品確法に定める免震建築物であること |
以下のいずれか ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)等級1既存住宅) ・品確法に定める免震建築物であること |
維持管理・更新の容易性 | 原則として、以下の基準(新築住宅)に適合すること ・維持管理対策等級(専用配管)の等級3 ・維持管理対策等級(共用配管)の等級3 ・更新対策(共用排水管)の等級3 |
原則として、以下の基準(既存住宅)に適合すること ・維持管理対策等級(専用配管)の等級3 ・維持管理対策等級(共用配管)の等級3 ・更新対策(共用排水管)の等級3 |
※2015年3月以前の場合、省エネルギー対策等級4に適合すること(平成11年省エネ基準)。
※2022年9月以前の場合、断熱等性能等級4であること。
2.2 環境へのネガティブな効果
本フレームワークでグリーンRMBSの裏付けとなる住宅ローン等では、住宅建設時に、建設工事に伴う騒音・振動や廃棄物の発生が想定されます。但し、住宅は騒音規制法や振動規制法、廃棄物処理法等の各種法令に基づき建設されるものであり、適正な環境配慮がなされると考えております。また、当該住宅ローン債権等とその他の一般的な住宅ローン債権の間に、環境へのネガティブな効果の差はないものと考えております。
3.プロジェクトの評価及び選定プロセス
3.1 選定の基準
本プロジェクトの選定においては、グリーンRMBSの組成について、プロジェクトチームを中心に関係部署により企画され、最終的には取締役会による承認を経た上で決定されています。
また、グリーンRMBS発行に係る個別の選定においては、対象の住宅ローン等に該当する債権を適格クライテリアに基づき決定します。適格クライテリアは、2.1で述べた通りです。
3.2 プロセス
個別の住宅が長期優良住宅の基準を満たしていることは、審査部において「長期優良住宅の認定通知書」または「機構が別に定める【フラット35】S金利プランAの耐久性・可変性に係る証明書(適合証明書)」を基に確認します。また、本グリーンRMBSの組成においては、財経部が適格クライテリアを満たす債権を抽出し、RMBSの裏付資産とします。
4.調達資金の管理
4.1 充当計画
本グリーンRMBSの発行金額は、該当期間内に貸付を行った長期優良住宅の取得を資金使途とした住宅ローン債権等プールの債権金額の合計であり、プログラム毎にアレンジャー及び投資家と年次で発行計画を策定します。
4.2 追跡管理
本グリーンRMBSの全ての裏付資産は2.1の基準を満たしております。また、RMBS発行後は、信託契約上のウォーターフォールに従い、適切に資金管理がなされており、当社のローン管理システムを通じて追跡が可能です。以上のことから本グリーンRMBSにおいて特別な分別管理は不要とします。
4.3 未充当金の管理
本グリーンRMBSは、本フレームワークに基づき反復継続して組成されます。プログラムの継続期間中において、RMBSの組成の都度全ての資金が対象住宅ローン債権等の取得資金に充てられるため、未充当金は発生いたしません。従って、未充当金の管理は不要とします。
5.レポーティング
5.1 充当状況
4.3で述べた通り、本グリーンRMBSは対象住宅ローン債権等の取得資金に全額充当されています。従って、未充当金は発生しないため充当状況に関する対外的なレポーティングは実施いたしません。なお、全ての調達資金が充当された後、大きな状況の変化があった場合には、適時開示します。
5.2 環境改善効果
以下について、年に2度当社ホームページで公開いたします。(プログラム毎)
①グリーンRMBSの発行金額合計
②グリーンRMBSを裏付資産とした住宅ローン債権の件数の合計
5.3 外部機関の評価
当社は、グリーンRMBSの発行にあたり、株式会社格付投資情報センターへ第三者評価を依頼し、セカンドオピニオン及び必要に応じてグリーンボンドアセスメントを取得します。取得したグリーンボンドアセスメントは年に1度更新され、結果については、株式会社格付投資情報センターのウェブサイト上に公表されます。
6.改定履歴
2022年8月 初版策定
2024年1月 改定(第ⅱ版)
2025年3月 改定(第ⅲ版)
以上
発行実績
2024年10月~2025年3月 グリーンRMBS発行実績(プロパーローン) | |
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グリーンRMBSの発行金額合計 | 42,278,319,348円 |
グリーンRMBSを裏付資産とした住宅ローン債権の件数の合計 | 769件 |
2024年10月~2025年3月 グリーンRMBS発行実績(フラット35) | |
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グリーンRMBSの発行金額合計 | 10,505,620,000円 |
グリーンRMBSを裏付資産とした住宅ローン債権の件数の合計 | 230件 |
2024年4月~2024年9月 グリーンRMBS発行実績(プロパーローン) | |
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グリーンRMBSの発行金額合計 | 27,000,000,000円 |
グリーンRMBSを裏付資産とした住宅ローン債権の件数の合計 | 561件 |
2024年4月~2024年9月 グリーンRMBS発行実績(フラット35) | |
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グリーンRMBSの発行金額合計 | 7,836,993,351円 |
グリーンRMBSを裏付資産とした住宅ローン債権の件数の合計 | 159件 |
2023年10月~2024年3月 グリーンRMBS発行実績(プロパーローン) | |
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グリーンRMBSの発行金額合計 | 50,000,000,000円 |
グリーンRMBSを裏付資産とした住宅ローン債権の件数の合計 | 1,120件 |
2023年10月~2024年3月 グリーンRMBS発行実績(フラット35) | |
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グリーンRMBSの発行金額合計 | 14,290,390,000円 |
グリーンRMBSを裏付資産とした住宅ローン債権の件数の合計 | 304件 |
2023年4月~2023年9月 グリーンRMBS発行実績(フラット35) | |
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グリーンRMBSの発行金額合計 | 14,682,580,000円 |
グリーンRMBSを裏付資産とした住宅ローン債権の件数の合計 | 365件 |
2022年8月~2023年3月 グリーンRMBS発行実績(フラット35) | |
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グリーンRMBSの発行金額合計 | 21,038,490,000円 |
グリーンRMBSを裏付資産とした住宅ローン債権の件数の合計 | 590件 |
発行実績情報更新履歴
2025年4月16日 | 2024年10月~2025年3月のグリーンRMBS発行実績を公表しました。 |
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2024年10月21日 | 2024年4月~2024年9月のグリーンRMBS発行実績を公表しました。 |
2024年5月15日 | 2023年10月~2024年3月のグリーンRMBS発行実績を公表しました。 |
2023年10月12日 | 2023年4月~2023年9月のグリーンRMBS発行実績を公表しました。 |
2023年4月20日 | 2022年8月~2023年3月のグリーンRMBS発行実績を公表しました。 |