米国OFAC規制等を踏まえた対応について
2023年5月
1. OFAC規制の枠組み
米国における経済制裁規制は、外交政策・安全保障上の目的から、米国の財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control = OFAC)が実施しており、その通称名のOFACから、OFAC規制と呼ばれています。
OFAC規制は、米国の外国資産管理法等に基づき、銀行を含む米国法人、米国人(米国外の米国籍の法人・個人を含む)、米国居住者(米国内の外国法人・個人を含む)に遵守義務を課しています。米国所在の銀行(外国銀行の在米支店を含む)および米銀の海外拠点は、規制対象取引の受付を拒絶したり、規制対象の預金口座や送金の資産凍結をしなければなりません(取引拒絶で足りるか、資産凍結まで必要かは、規制のプログラムによって異なります)。違反した場合は民事制裁金や刑事罰が科される可能性があります。
2. OFAC規制の適用
OFAC規制は米国外にも適用される場合があります。本邦企業、個人による本邦から米国以外の外国へ向けた外国送金取引や米国以外の国との貿易取引であっても、それが米ドル建で行われるものまたは米国企業や米国人が関与するなど米国接点を有する場合であって、「制裁対象者」が関与する取引などOFAC規制に抵触する場合には、OFAC規制は米国外にも適用されます。この場合、当該取引のみならずその後も海外の銀行から取引を謝絶されるなどの支障が生じる場合があります。
さらに、イラン制裁など一部の制裁プログラムでは、制裁対象者や制裁対象国と特定の取引を行った外国金融機関(本邦所在の銀行含む)、非米国企業(日本の企業等を含む)や非米国個人に対して、米国接点がないお取引であってもセカンダリー・サンクション(二次的制裁)として制裁が発動される場合があります。二次的制裁の場合、制裁対象者に指定され、米国の外国為替市場へのアクセス禁止、米国への輸入制限などの制裁を科される危険性があります。
このような制裁リスクから当社だけでなくお客さまを守るため、お客さまの支配権が及ぶ関係者(子会社、関連会社等)の調査や事後的な取引の精査をさせていただく場合がありますので、予めご了承願います。
3. 当社の方針
- ・以上のOFAC規制を含む経済制裁規制をふまえ、当社では、直接・間接を問わず、包括的制裁対象国(イラン・北朝鮮・キューバ・シリア・クリミア地域・ドネツク人民共和国(自称)・ルハンスク人民共和国(自称))が関与・関係する取引については、一部例外を除き、原則として通貨を問わず、お取り扱いできないため、お客さまにおかれましては、これらに該当しないことを十分にご確認のうえ、お取引をご依頼いただきますようお願い申し上げます。
- ・また、お取引の受付後であっても、OFAC規制を含む経済制裁規制に抵触する恐れがある場合には、当社よりお取引の内容を確認させていただき、その結果によっては、当社の判断により、当該お取引の中止又は取消等を行う場合がありますので、予めご了承願います。特に制裁の回避・迂回行為はOFAC規制上悪質な行為と見做されます。第三国や第三者を経由して制裁対象国・制裁対象者と間接的に取引(貿易や資金決済)を行っている等の行為は制裁の回避・迂回行為と見做される可能性が高く、当社ではかかる行為が判明した場合、当該取引の当社への持ち込みを中止いただくよう要請しております。
- ・なお、OFAC規制を含む経済制裁規制による理由で資産凍結の措置が講じられた場合、取引の代り金としてお預かりした資金の返却は致しかねます。そうした場合にはお客さまご自身にて、OFACに対する凍結解除の申請等、然るべきご対応をいただく必要がございますので、予めご承知願います。
― 記 ―
●OFAC規制を含む経済制裁規制(注1)を踏まえて、直接・間接を問わず、当社において一部例外(注2)を除き、原則として通貨を問わずお取り扱いできないお取引(2023年5月現在)
- ①お取引の関係者(注3)の所在地・居住地・関係国・関係地等(注4)に、包括的な制裁対象国・地域※が含まれているお取引
- ※北朝鮮、イラン、キューバ、シリア、クリミア地域、ドネツク人民共和国(自称)、ルハンスク人民共和国(自称)
- ②包括的制裁対象国等の政府(北朝鮮、イラン、キューバ、シリア、ベネズエラ)やその政府の役職員が関与するお取引
- ③包括的制裁対象国・地域に居住している個人またはこれら国・地域に所在する企業(本部が所在する場合を含む)とのお取引
- ④テロリスト、麻薬取引者、大量破壊兵器取引者、多国籍犯罪組織などの制裁対象者(注5)が関与するお取引
(注1)経済制裁規制:本邦財務省、国際連合、英国政府、欧州連合やその他当社が事業を展開する地域の政府当局等が管轄するものも含みます。
(注2)一部例外:お客さまがOFACから特別ライセンスを得ている、一般ライセンスにより許可されることを確認している等の場合はお取引をお受け出来る場合もあります。
(注3)取引の関係者:送金人、受取人、輸入者、輸出者、荷受人、取引に関与する銀行・船会社・航空会社・輸送船・航空機・荷揚/積荷業者、ターミナルや埠頭の所有者・運営者(運営会社)、保証の受益者など
(注4)関係国・関係地:原産地、物流地点(船積地、荷揚港、仕向地、中継地)、船籍など
(注5)制裁対象者:北朝鮮・イラン・シリア・キューバ・クリミア地域・ドネツク人民共和国(自称)・ルハンスク人民共和国(自称)、ベネズエラ政府、ロシア分野別制裁対象者や、資産凍結、取引禁止等の対象として指定された個人、法人、団体や船舶やそれらに所有あるいは支配されている者も含みます。
あくまでも上記は現時点での例示であり、最新のOFAC規制の詳細については、お客さまご自身でOFACホームページにて、ご確認ください。
https://www.treasury.gov/resource-center/sanctions/Pages/default.aspx
SDN(Specially Designated Nationals)の詳細な内容については、以下の米国財務省のサイトをご覧ください。
https://www.treasury.gov/ofac/downloads/sdnlist.pdf
以上